子供の頃

子供の頃

一人で自転車で旅をした事がある

かかり付けの病院の近くだった

目の前に　山があって

ひたすら畑の中の道を自転車で走っていた

少し坂だったかもしれない

少し砂利や石が多くて　タイヤが揺れたかもしれない

それでも、前しか向かないで一心不乱に

ペダルをこいていた。

やがて畑道は細くなり

草や竹に覆われた　獣道へ

自転車からおりて押して登った

頂上から見えたのは

果てしなく続く　芝生の広場

整地されていて、綺麗な道路もあったのに、

突然、タイムスリップして知らない世界に

落ちてしまったと呆然とした。

帰れない　元に戻れない

そんな感情だけがこみ上げて

不安と空間の圧力で潰されそうになった。

来た道を戻ろう

１本道だったし

あとは、全速力で　後戻りするしかなかった

夕方　陽が落ちて　病院の近くまで来た時

『助かった』　と　安堵した。

多分、少し怖くて泣いた。

それから　数年たって

中学になった時、

その病院の畑の先の山の向こうに

ゴルフコースがある事を知った。

ただ、歩くだけでも楽しそうなゴルフ場なのに

ボールが飛んできて子供には危険な場所と

いわれたが、

ある日、中学の夏休み。

こっそりゴルフ場に不法侵入して

コースの端っこでピクニックをした。

子供の頃の怖さはなかったけど

わかると案外楽しい遊び場だと一人で納得していた。


みなさん。

お近くのゴルフ場は何かと危険ですので

無断でコースに入るのは辞めましょう　笑

タグ：子供の頃